廃業ってどう?M&Aとの違いやメリット・デメリットについて考えてみた。
近年、倒産・廃業という言葉をよく耳にすることがあります。
理由は様々ですが、そのプロセスについて今一度、最善の方法が無いか考えてみましょう。
廃業増加の主な要因
東京商工リサーチによると昨年の企業倒産増加率は31年ぶりの高水準との記事がございました。
廃業が増えている理由は多岐にわたり、地域や産業によって異なる要因が影響しています。以下に、一般的な廃業が増加する理由について考えてみました。
テクノロジーの進化
産業のデジタル化や技術の進歩により、新たなビジネスモデルやプロセスが登場し、これに適応できない既存の企業は競争力を失う可能性があります。
市場競争の激化
同業他社との激しい競争やが続く中で、企業は収益性の低下やシェアの喪失に直面し、経営継続が難しくなることがあります。
消費者行動の変化
消費者の購買行動や嗜好の変化が、企業の需要や市場動向に影響を与えることがあります。これに対応できない企業は、事業の縮小や廃業を選択することがあります。
人材不足
一部の業種や地域では、適切な人材を確保することが難しくなり、これが事業の運営や成長に制約を生むことがあります。
自然災害やパンデミック
自然災害や大規模なコロナウイルスのようなパンデミックが企業活動に大きな影響を与え、これにより事業の存続が難しくなることがあります。
我々の業界においては、皆様のビジネスに大きな影響はないかもしれませんが,新たなビジネスモデルであればセルフ写真館の流行がありました。
また特にブライダル関係の企業様ではコロナ禍でのダメージは大変ご苦労されたかと思います。
特に少子高齢化が問題視される中で上記『人材不足 』を要因とする『経済的な困難 』について考えてみましょう。
上昇する社長の平均年齢
※東京商工リサーチ 2021年「全国社長の年齢調査」より
2020年の社長の年齢分布では70代以上の構成比が30%越えとなり、平均年齢を押し上げる要因となっている。
社長の高齢化による業績の不振
※東京商工リサーチ 2021年「全国社長の年齢調査」より
70代以上の企業については横ばい・赤字の割合が最も多いのが業績の現状となっている。
廃業を選択した社長の年齢
※東京商工リサーチ 2021年「全国社長の年齢調査」より
休廃業の年代別割合でも70代以上が最も多く、近年増加傾向にある模様。
上記の条件により、人材不足(跡継ぎ不在や景気悪化による離職)による社長の高齢化で業績の悪化を理由とした廃業が増えているのでは無いでしょうか。
廃業ではなく、M&Aという選択肢
廃業せず、他社に引き継いでもらうM&Aという選択肢もあります。
それぞれの具体的な対応についてメリット・デメリット等の違いをみていきましょう。
<廃業>
メリット
会社の経営を終わらせることができます。経営者の責務から解放され
会社の経営状況次第では、手元資産を残すこともできます。
デメリット
会社を畳むので従業員の雇用は継続できません。また告知が急だった場合
取引先へ迷惑をかける可能性があります。
また代表者が融資の個人保証や不動産等の資産を担保に入れている場合
経営状況次第では清算するために個人資産に手をつける可能性もあります。
<M&A>
メリット
従業員の雇用継続、自社の事業内容や人材の評価次第となりますが売却益が望めます。
取引先との関係についても引継側が事業を継続させる限り維持できます。
また「屋号を残したい」という経営者の方のお話もお聞きすることがありますが
引継側が社名変更しない限り、希望を叶えることができます。
デメリット
一番に挙げられるのは買い手探しが困難なことです。スムーズな場合
半年~1年で終わることもありますが、交渉が難航した場合2~3年
掛かることもあります。
また専門の民間仲介業者に依頼した場合、高額な手数料が発生しますが近年では
公的機関で相談を受ける所も増えてきています。
廃業orM&Aどちらの手取り額が多い?
廃業とM&Aの場合、手取り額(企業や関係者が最終的に手に入れる金額)は異なります。以下に、それぞれの場合での一般的な要因と影響を説明します。
廃業の場合
<資産の売却>
廃業に際して、企業は残された資産(土地、建物、機器)を売却することが一般的です。
<債務の清算>
廃業時に抱えている債務を清算する必要があります。清算後に残る資金が手取り額となります。
<従業員への給与や手当の支払い>
従業員に対して未払いの給与や手当があれば、これらの支払いも必要です。
<法的手続きとコスト>
廃業に関わる各種登記費用、登記に関連する証明書の取得費用、士業への報酬
売却できない資産(老朽化したもの等)の処分費用、賃借物件の場合は原状回復費用が想定されます。
M&Aの場合
<株式・資産の売却>
対象企業へ株式または資産を売却し売却益を得ることができます。
<従業員への報酬>
M&Aが行われる際、従業員に対する報酬や福利厚生の取り決めが行われることがあります。
<法的手続きとコスト>
M&Aも複雑な法的手続きを伴い、これにはコストがかかることがあります。
M&Aの手取り額は、買収価格から従業員への報酬や法的手続きのコストを差し引いた金額となります。また、M&A後の企業価値の増加やシナジーの実現により、手取り額が増える可能性もあります。
手取り額の具体的な差異は、各ケースや交渉の結果に依存します。買い手側が魅力を感じた場合、廃業より手元資金を多く残すことが期待できますが成功報酬や統合に伴うコストも考慮する必要があります。また、『事業承継・引継ぎ補助金』も利用可能な場合がございますので、あらためて同内容についてもご紹介させていただく予定です。
おまけ
<会社売却の節税方法 >
その1:退職金にして節税
取引価格が高いほど課税される金額も増えますが、譲渡した株式対価の一部を退職金として受け取るようにすると、取引価格から退職金の分が引かれるため課税所得額を減らすことが可能になります。
その2:第三者割当増資により節税
親族や社内の人物へ株式を売り渡す事業承継では株式の取得費用がハードルとなりますが、第三者割当増資を用いれば株式の総数が増えることで1株の価値を下げられます。
つまり、承継する人物が低い株価で多くの株式を買い取れる為、株式の取得で生じる税金を低くできる仕組みです。
廃業に比べM&Aには金額以外にも企業理念の存続等のメリットが多くあります。
今一度、M&Aについてのお問い合わせはナニワ商会までご連絡下さい。