インボイス制度とは? 登録の要否によるメリット･デメリットを解説
令和5年10月から、消費税の仕入れ税額控除を受けるためのインボイス制度がスタートします。消費税の複数税率に対応するための制度で、課税事業者が発行する適格請求書に記載された税額を控除することができる方式です。
インボイス制度の開始まで1年を切り、インボイス発行事業者の登録期限が令和5年3月31日までとなっていますので、制度の概要や登録要否によるメリット･デメリットを中心にご紹介致します｡
■インボイス制度(的確請求書等保存方式)とは
＜売手側＞
売手である登録事業者は、買手である取引相手（課税事業者）から求められたときは、インボイスを交付しなければなりません（また、交付したインボイスの写しを保存しておく必要があります）。
＜買手側＞
買手は仕入税額控除の適用を受けるために、原則として、取引相手（売手）である登録事業者から交付を受けたインボイスの保存等が必要となります。
（※）買手は、自らが作成した仕入明細書等のうち、一定の事項（インボイスに記載が必要な事項）が記載され取引相手の確認を受けたものを保存することで、仕入税額控除の適用を受けることもできます。
インボイスの記載事項のイメージです｡
登録番号や税率･消費税額の記載が必須となります｡
■インボイス制度の施行スケジュール
開始時期：令和5年10月
登録期限：令和5年10月からインボイスを交付するためには、令和5年3月31日までの登録申請が必要です｡
■インボイス制度の主な目的
・複数税率による計算ミスや不正を防ぎ、透明度を高める
・免税事業者の益税を防ぐ
【免税事業者の益税とは】
基準期間の課税売上が1,000万円以下など一定の要件を満たす事業者は、消費税の課税事業者とならず､消費者が支払った消費税が免税事業者の利益となることがあります｡
■まずはインボイス発行事業者の登録要否のご判断を
主なポイントに緑色の下線を引いています｡
インボイス制度の登録を受けるかどうかは事業者の任意となりますが､現在課税事業者の方々は登録するデメリットは少なく、早目のご登録が賢明です｡
インボイス発行事業者の申請フロー
登録が完了すると下記サイトで確認できます｡
https://www.invoice-kohyo.nta.go.jp/index.html
ここからは現在免税事業者の方々が、インボイス制度の登録要否によるメリットとデメリットについて掘り下げていきます｡
■免税事業者を継続(インボイス制度非対応)した場合
【メリット】
従来の税制の優遇措置は継続されます｡
【デメリット】
取引先(売上先)からインボイス発行要請があった場合対応できません｡
インボイスを発行出来ないと、取引先は仕入税額控除ができなくなるため、インボイス制度に対応した他社に乗り換えられる懸念があります｡
上記のとおり取引先(売上先)の納付税額が大きく変わります｡
※経過措置期間は仕入税額の一部が控除できます｡
■課税事業者に変更し､インボイス発行事業者に登録した場合
【メリット】
取引先(売上先)からのインボイス発行要請に対応できます｡
【デメリット】
基準基幹中の課税売上高が1,000万円以下となった場合も免税事業者とはならず、消費税及び地方消費税の申告義務が生じます｡御社の負担増となりますので、お取引先と取引条件の見直しの交渉も必要になってきます｡
現在免税事業者の方々は､上記のメリットとデメリットを参考に、インボイス制度登録の要否をご検討ください｡
インボイス制度の詳細につきましては国税庁のWEBサイトでご確認ください｡
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice.htm
最後までお読み頂きありがとうございます｡
インボイス制度の開始まで1年を切りました｡お取引先とご相談の上、早目の対応をご検討ください｡
