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出張撮影のマッチングサービスが続々登場、スタジオ写真と何が違う?記念写真はどう変わっていく?

出張撮影やロケーション撮影といえば、ブライダルの現場を中心に徐々に一般化しつつあります。皆様のお店にも撮影のお問合せがあるのではないでしょうか?

実際、気持ちよく晴れた日に人気の撮影スポットに行くと、あちらこちらで美しい晴れ着の新郎新婦と、それを撮るカメラマンの皆さんを見かけます。

なぜお客様はロケ撮影を求めるのでしょうか?
ゼクシィのページによると、

”絵になる風景の中で物語の主人公のような写真が撮れる”

と、ロケーション撮影のメリットを解説しています。


ブライダルでは“映画や写真集のような写真”を求める需要があるようです。
これはスタジオでの撮影とは満たせない、従来とは異なるニーズですよね。
参考: http://zexy.net/mar/manual/photo_kiso/chapter3.html


このような出張撮影ニーズはブライダルに限りません!
いま、家族写真、記念写真においても、出張撮影サービスが静かにブームになっています。
カメラマンと顧客を仲介するマッチングサービスが続々と登場しているのです。

なぜ記念撮影までも出張撮影に移行しつつあるのでしょうか?また、どのようなマッチングサービスがあるのでしょうか?

今回は出張撮影サービスの普及と、変わりゆく記念写真需要について、ご紹介していきたいと思います。


出張撮影のマッチングサービスとは?

といっても、出張撮影自体は昔からあるサービスで、皆さんにとっても御馴染みだと思います。
しかし、マッチングサービスとはなんでしょうか?
マッチングとは、売り手と買い手を仲介するサービスです。今回のテーマで言うと、出張撮影のマッチング、写真を撮って欲しい個人とカメラマンを引き合わせるサービスですね。

私たちが聞き馴染みが無いのも当然で、出張撮影のマッチングビジネスが登場してきたのはごく最近です。
2016年2月にピクスタ株式会社より、「fotowa」https://fotowa.com/)というサービスが首都圏を中心にリリースされました。

それに続くように、2016年8月には「Our photo」のサービスが開始(https://our-photo.co/)。こちらは全国展開のサービスです。

「pixta」と言えばストックフォトの超有名サービスですし、Our photoはあのキヤノンが出資しています。(http://cweb.canon.jp/newsrelease/2017-02/pr-ourphoto.htm
どちらも今、最も注目されているサービスです。 


追記(2018年2月5日):弊社でお取引いただいている「スタジオキャラット」さんからも、カメラマンとユーザーをマッチングさせる出張撮影サービス「photo Love it(フォトラビット)」がリリースされました。
現在、カメラマン登録を募集されているとのことです。

リンク:「写真撮影| photo Love it【フォトラビット】


どちらのサービスも撮影価格を安く設定

撮影のマッチングサービスの最大の特徴は、撮影価格が安価なことです。
fotowaでは一時間の撮影・75枚のデータで19,800円
Our photoではなんと50分の撮影、30枚のデータで6,480円~です。

業界の平均からするとかなりの低価格ですが、それもそのはず。
どちらも、プロだけではなくハイアマチュアの方でも登録が可能(審査はあるようです)、隙間時間に機材を活用して撮るアマチュアまで「フォトグラファー」の定義を広げているからなんですよね。

ですが、いくらアマチュアが低価格で撮るとは言えど、プロが営業しているスタジオや写真館の方が撮影ノウハウはもちろん機材も充実しているはず。
それにも関わらず、どうして出張撮影サービスにおいてマッチングサービスが普及しつつあるのでしょうか?その理由は、どうやら値段だけではないようです。


お客様に、「写真館は”不自然”で”不親切”」と思われてる?

・・・見出しにムッとされる方もいるかもしれません。
しかし、実際のところ、これらのサービスは価格だけでは無く、時代と共に移り変わる消費者のニーズを狙った側面があるのです。
では、消費者のニーズとは何か?

それは「自然な写真」を「分かりやすい値段」で撮りたいということ。
言い換えれば、写真館・スタジオの写真は「不自然」で「わかりにくい」、そんな思いが、近年の消費者の中に芽生えつつあるようです。

fotowa、Our Photo、それぞれのプレスリリースを見てみましょう

OutPhotoプレスリリース: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000015628.html
fotowaプレスリリース: http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1328221


まず、Our photoのサービス発表時のプレスリリースには、

”(写真館での)写真はフォーマル・形式的で自然体なものではなく、(中略)オシャレな写真はなかなか撮れません”

と明記されています。
ああ、ちょっと複雑な気持ちになりますよね。筆者もそうです。だから、どうか石を投げないでください。

続いて、fotowaにおいても、

”写真館では撮れない、自然体ながら効果的に演出された「ナチュラルでオシャレな写真」と共に「フォトグラファーに撮影してもらう非日常体験」を提供”

とあります。書きながらビクビクしてますが、怒らないで下さい…

両者に共通しているのは「自然体な写真を撮りたいニーズに応える」と明確に打ち出している点です。
fotowaのプレスリリースによれば、およそ「7割の人がナチュラルな写真を撮ってもらい」というアンケート結果があるとのこと。
(回答者層が不明な上、ナチュラルな写真≠写真館・スタジオ と限ったわけではないのですが・・・)

そういえば、我々の業界でも、こどもスタジオでも近年ナチュラルテイストのセットを用いたところが増えつつあります。”自然体の写真”の需要は確かにあるようです。

では、もう一点の「不親切」の部分はどうでしょうか?
こちらも従来の写真館と、料金体系で差別化するための要素のひとつのようです。
fotowaのサイトに比較表(https://fotowa.com/prices)を見ると、写真館の料金と納品体系の複雑さをデメリットとして挙げています。

一方でマッチングサービスは、値段が明瞭、なおかつ仲介業者による料金保障があります。加えて、完全データによるシンプルな納品が基本です。
このように比較されると、出張撮影のマッチングサービスに魅力を感じる顧客は多いような気もしてきます。 


商品撮影も「自然体」がメイン!?

更に、マッチングサービスは、商品撮影のジャンルにも登場してきているようです。
ストックフォトのsnapmartよりリリースされたこちらのサービスは、企業と「インスタグラマー」のマッチングサービス。
参考: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000023052.html

数万人に影響力があるinstagramユーザーによる「自然体」で「SNS映え」のする写真が提供できるとのこと。

商品撮影と言えばそれこそプロの技が必須と思いきや、ネットでの記事広告でアマチュアの写真の方が「自然体」で反響がある。という実験もあります。
参考: https://www.cocolable.co.jp/

実験で使われている写真の良し悪しはともかく、「広告」という不自然を嫌がる消費者文化に、インスタグラマ―の価値観が合っているようです。

snapmartのサービスは一部の有名instagramユーザーとの仲介に留まっていますが、今後さらに拡充される可能性も高いのではないでしょうか。
マッチングによって提供される「自然体」な写真の影響力、無視できないような気がしてきましたね。

  

まとめ・マッチングサービスで記念写真はどう変わっていく?

さて、長々とマッチングサービスの特徴を確認してきましたが、最後にポイントを整理してみましょう。 

  • 顧客とカメラマン(フォトグラファー)を引き合わせる
  • 安い(アマチュアやプロの空き時間の活用)
  • 出張撮影での「自然体」な写真のニーズにマッチ
  • シンプルな料金・納品体系

以上の4点がマッチングサービスの大きな特徴です。

サービスが登場しはじめて1年程度ということもあり、写真館・スタジオへの影響はまだまだ分かりません。
しかし、なんといっても値段が安く、話題性に富んでいます。まだまだ伸び代がありますし、既存のスタジオ・写真館の潜在顧客を奪っていく可能性は多いにありそうですね。


今回ご紹介したマッチングサービスですが、フォトルプロをご利用のみなさんにとって、ギャップや違和感を感じる点も多かったのではないでしょうか?

特に、「屋外での自然体な撮影」と「完全データ納品」の二点は、これまでの写真業界が提供してきたサービスと明らかに異なる点です。
自然体の撮影については本文で何度も述べてきましたが、筆者は個人的に完全データ納品をアピールポイントにしている部分が印象的でした。


先日、「若者はなぜ写真をプリントしないのか?」 という記事を書かせていただきましたが、マッチングサービスによる新しい需要の喚起はこちらと地続きの問題であるようにも思いました。

マッチングサービスの利用者からすると、もはやプリントのサービスそのものが、余計な料金を取るためのオプションにすぎないのかもしれません。
写真業界以外を見ても、世の中にはさまざまなカタチでシンプルな料金体系のサービスが登場しています。筆者もツープライススーツのお店ばかり利用してしまいます。

このような時代の潮流を読みつつ、写真館・スタジオがどう対抗していくか?
「スタジオ728」として出張撮影サービスを提供しているナニワ商会としましても、これからも一緒に考えていければと思っています。
最後まで読んで頂きありがとうございました。

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